防火対象物定期点検報告制度

消防法第8条の2の2によって、多くの人の出入りのあるような一定の防火対象物の管理権限者は、防火管理の状態を資格者に点検させてその結果を消防長又は消防署長に報告しなければならない、と義務付けられています。消防用設備等の点検は、建物に設置された設備だけが点検の対象ですが、この点検では「消防計画が作成され、届け出られているか」「避難の障害になるような物が置かれていないか」というようなことも点検の対象となります。


 

制度制定の背景

平成13年に発生した新宿歌舞伎町ビル火災において、防火管理面の不備が被害拡大の要因として指摘されるとともに、全国の類似雑居ビルにおいても防火管理の状況が悪いことが判明しました。
こうした状況を改善するために、防火管理が適正に行われるよう防火対象物の関係者による定期的なチェック体制を確保し、防火管理に関する自主性と実効性を高めることについて検討がなされました。その結果、平成14年4月に消防法が改正(平成15年10月施行)され、火災発生時の人命危険が高い防火対象物に対して、防火対象物の関係者による防火管理に関するチェック体制が制度化されました。


 

防火対象物点検が必要な建物

特定防火対象物の内、「建物全体の収容人数が300人以上のもの、または特定一階段等防火対象物で収容人数が30人から300人未満のもの」が防火対象物点検制度の対象となります。

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※「特定防火対象物」とは、映画館や百貨店、ホテルなどの宿泊施設、病院、老人福祉施設などをいいます。
>>特定防火対象物についてもっと詳しく

※「特定一階段等防火対象物」とは、屋内に階段がひとつしかなく、1階・2階以外の階に特定用途部分がある防火対象物をいいます。尚、屋内階段がふたつあっても、避難上有効な開口部がない壁で区画されている場合もひとつと見なされます。


 

防火対象物定期点検の点検基準(抜粋)

消火・通報・避難訓練を実施しているか
避難階段に避難の障害となる物が置かれていないか
防火戸の閉鎖に障害となる物が置かれていないか
カーテン等の防炎対象物品に防炎性能を有する旨の表示が付けられているか
消防法令の基準による消防用設備等が設置されているか  ・・・等


 

防火基準適合の表示

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点検は1年に1度行い、その防火対象物が点検基準に適合している場合には「防火基準点検済証」を表示することができます。

 

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また、3年間定期点検報告を怠らないなど、火災予防に関する事項を適正に遵守していることが認められると特例の認定を受けることができ、一定期間防火対象物定期点検及び報告が免除されます。特例認定を受けた建物には「防火優良認定証」を表示することができます。
どちらも、複数のテナントが入っている場合など、管理権限が分かれている建物では防火対象物全体の点検結果が適合していなければ表示することはできません。